2019年2月10日に頒布した『真矢クロレヴュー ―四つ足の獣―』の作品紹介です。
ここでは、今回の短編の内容や作品の構成について説明したいと思います。
『真矢クロレヴュー ―四つ足の獣―』はそのタイトル通り、天堂真矢と西條クロディーヌがメインの話です。
副題の「四つ足の獣」は物語のキーワードになっていて、お互いに競い合いながら成長していく二人を現す言葉になっています。
作品内容は友達以上恋人未満な関係の二人なのでいたって健全です。
しかしながら作品テーマが「友達だけど、ライバルだから、そこらの恋人よりも、濃密な関係を」なので、ただの友達では終わらない、直接的な描写は無いけれど精神的に捉えればなんとなくエロい二人の関係になるよう頑張って書きました。
目標に向かって常に努力している二人は、自分と同じ道を歩む相手に対し、愛とか友情とかそんな簡単な言葉で言い表すことのできない特別な感情を抱いていると思います。
それをなんとか表現できないかと考え、この作品が生まれました。
この話の主人公は西條クロディーヌです。
この話は、天堂真矢と西條クロディーヌが歌劇「煌めきの王」の主役と準主役として抜擢されたことで始まります。
当然ながら主役は天堂真矢、準主役は西條クロディーヌでした。
物語の中で二人は与えられた役をお互いに演じます。いわゆる作中作(劇中劇)です。
「煌めきの王」の主役と準主役の関係は、今の天堂真矢と西條クロディーヌの関係にそっくりでした。
二人は役の理解を深めていくうちに、役を通して相手が自分にとって「特別な存在」であることを自覚していきます。
あるとき、作中の天堂真矢が西條クロディーヌに対して
「西條さん。私のことを受け入れてくれませんか?
西條さんと一緒であれば、もっといい演技ができるのではないかと考えています。
西條さんが私についてこられるのは知っています。だから、その上を」
と言ったことで物語は進展していきます。
天堂真矢は自分の実力を上げるために、西條クロディーヌに協力を求めます。
西條クロディーヌは天堂真矢の言い回しに訝しいものを感じながらも、彼女の要求に応じます。
その後、二人は劇の練習を通して心を通わせることになり、一段階上の存在にたどり着くことになます。
この場面「二人で劇のクライマックスを練習するシーン」は物語の山場になってます。
二人がどのようにして心を通わせたのか。そしてどのようにして演者として一段階上に進んだのか。
ここら辺の所は実際に読んでご確認ください。
この「煌めきの王」は私が考えたオリジナル劇になります。
ご想像の通り、この「煌めきの王」は少女☆歌劇レヴュースタァライト内で彼女たちが目指す「トップスタァ」を示唆するものになっています。二人が「煌めきの王」の役について話すとき、それは自分たちがトップスタァを目指すうえで日常的に感じていることだと捉えていただければ幸いです。
今回の物語の構成は四章+エピローグになっています。
一章から三章にかけては天堂真矢に対して正負入り混じった複雑な感情を抱く西條クロディーヌの葛藤が。
四章からエピローグにかけては、物語の中でぼかされていた天堂真矢が西條クロディーヌに抱く感情が、答え合わせの形で示唆されるようになっています。
特に第三章の一番の盛り上がりにあたる「二人で劇のクライマックスを練習するシーン」は、二人の心のつながりを表現したかった場面なので、踊りの描写にもかかわらずどことなく恋人との行為を彷彿とさせるように奮闘しながら書きました。笑
ちなみに、私は天堂真矢にコンプレックスを抱いている気さくなクロディーヌと、実力があるけれど天然で、いつも親切にしてくれる西條クロディーヌに上手く接することのできないポンコツ真矢という設定が好きです。
お互いに意識しているけれど、天然とプライドが邪魔をしてどことなくすれ違ってしまう。でも舞台の上なら、誰よりも深く相手のことを理解することが出来る。そんな関係の二人は、とてももどかしくて素敵だと思います。
一言でいえば、この話はそんな二人の成長譚になります。
この『真矢クロレヴュー ―四つ足の獣―』は今回自分にとって初めての「作中作」そして、登場人物の心の動きおよび感性に重点を置いた話になります。
色々と新しいことに挑戦した本作ですが、個人的には割と面白くかけたと思います。
なお、表紙絵は梅茶漬けさんに書いていただきました。
自信たっぷりなデフォルメされた二人がとても可愛らしいです。ありがとうございます!!
もし、この紹介を見て気になった方いましたら是非お手にとっていただければと思います!
私の作風が不安な方は、pixivにて話の冒頭(一章部分)を公開しているので、どうぞご確認ください。
友達とも恋人とも違う、特別な関係の二人を楽しんでいただけたら幸いです。
pixivにて公開している作品サンプルはこちら。
メロンブックス委託ページはこちら。